8月30日、厚生労働省において、第9回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用・環境均等分科会 同一労働同一賃金部会が開催され、同一労働同一賃金ガイドラインのたたき台が示されました。
主なポイントは以下の2つです。
今後の対応に重要となるものですのでご参照ください。
①参議院・附帯決議三十二、三十三を受け、その内容を追記反映
「なお、短時間・有期雇用労働法第八条及び第九条並びに労働者派遣法第三十条の三においては、通常の労働者のそれぞれと短時間・有期雇用労働者等との間で不合理な待遇の相違等の解消が求められることとなる。このため、事業主が、雇用管理区分を新たに設け、当該雇用管理区分に属する通常の労働者の待遇の水準を他の通常の労働者よりも低くしたとしても、当該他の通常の労働者と短時間・有期雇用労働者等との間でも不合理な待遇の相違等を解消する必要がある。また、事業主が、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者等との間で職務の内容等を分離した場合であっても、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者等の間で不合理な待遇の相違等を解消する必要がある。さらに、同一労働同一賃金の目的は、短時間・有期雇用労働者等の待遇の改善である。事業主が、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者等との間の不合理な待遇の相違等の解消に対応するため、就業規則を変更することにより、その雇用する労働者の労働条件を不利益に変更する場合、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第九条の規定に基づき、原則として、労働者と合意する必要がある。また、労働者と合意することなく、就業規則の変更により労働条件を労働者の不利益に変更する場合、当該変更は、労働契約法第十条の規定に照らして合理的なものである必要がある。ただし、同一労働同一賃金の目的に鑑みれば、事業主が通常の労働者と短時間・有期雇用労働者等との間の不合理な待遇の相違等を解消するに当たっては、基本的に、各事業主の労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げることは、望ましい対応とはいえないことに留意すべきである。」
②長澤運輸事件最高裁判決を受け、その内容を追記反映
「さらに、定年制の下における通常の労働者の賃金体系は、当該労働者が定年に達するまで長期間雇用することを前提に定められたものであることが少なくないと解される。これに対し、事業主が定年に達した者を有期雇用労働者として継続雇用する場合、当該者を長期間雇用することは通常予定されていない。また、定年に達した後に継続雇用される有期雇用労働者は、定年に達するまでの間、通常の労働者として賃金の支給を受けてきた者であり、一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることが予定されている。そして、このような事情は、定年に達した後に継続雇用される有期雇用労働者の賃金体系の在り方を検討するに当たって、その基礎になるものであるということができる。そうすると、有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることは、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理であるか否かを判断するに当たり、短時間・有期雇用労働法第八条における「その他の事情」として考慮される事情に当たりうる。また、定年に達した後に引き続き有期雇用労働者として雇用する場合の待遇について、例えば、労働組合等との交渉を経て、当該有期雇用労働者に配慮したものとしたことや、待遇の性質及び目的を
踏まえつつ他の待遇の内容を考慮すると、通常の労働者との間の差が一定の範囲にとどまっていること、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給が開始されるまでの間、一定の上乗せが行われること、定年退職に関連して退職一時金や企業年金の支給を受けていることなどの様々な事情が総合考慮されて、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理であるか否かが判断されるものと考えられる。したがって、当該有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用される者であることのみをもって、直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないとされるものではない。」
詳細は下記資料をご参照ください。
■第9回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用・環境均等分科会 同一労働同一賃金部会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000176596_00002.html
■同上 資料3-1「同一労働同一賃金ガイドラインのたたき台(短時間・有期雇用労働者に関する部分)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000348377.pdf
■「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議 平成三十年六月二十八日」 参議院厚生労働委員会
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/196/f069_062801.pdf
■「長澤運輸事件 最高裁判例」 最高裁判所
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/785/087785_hanrei.pdf