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2019.5.23 Since 2011
~ 転ばぬ先の労務管理メルマガ ~
淀川労務協会 “実録” 労務 虎の巻 第73号
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Point1.『関西最大級の規模』
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“本当の人事労務問題解決力”を貴社に提供する労務管理のリーディングオ
フィス
― 社会保険労務士法人 淀川労務協会 - です。
このメールマガジンでは、私どもがこれまで顧問サービスとしてご提供し
てきた人事・労務・社会保険等に関する事例や情報の中から、特に皆様に
知って頂きたい事例を厳選しご紹介させて頂いております。
――――目次―――――――――――――――――――――――――――
Vol73.~ コラム ~ 副業・兼業と働き方改革
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平成31年1月に政府が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以
下、ガイドライン)をリリースしたことにより、副業・兼業が拡大する流
れは止められないでしょう。
片や政府は長時間労働問題への対策として本年4月(中小企業は来年4
月)より年間720時間規制を含めた新たな時間外労働の上限規制を導入し
ています。
労働時間にあってはあくまで1日8時間、週40時間の法定労働時間を基本
としており、労働者代表と36協定を締結することによって一定限度時間
まで時間外労働をしたとしても免罰され、更に特別条項を盛り込むことに
より年最大6回までは当該一定限度時間を更に超えることが可能です。
ガイドラインで副業・兼業の労働者側のメリットとして、政府は以下を挙
げています。
①離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得るこ
とで、労働者が主体的にキャリアを形成することが出来る。
②本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追
及することが出来る。
③所得が増加する。
④本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準
備・試行が出来る。
他に、「副業・兼業は社会全体としてみれば、オープンイノベーションや
起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観
点から地方創生にも資する面もあると考えられる」との記載があることか
ら、政府が想定している主な副業・兼業者の中心はおそらく『比較的若年
者の正社員』なのでしょう。
正社員の多くは法定労働時間の上限に近い所定労働時間で勤務しており
36協定の適用においては副業・兼業先の労働時間は通算されますから、
本業で時間外労働が一切発生しないという無理な前提に立ったとしても、
36協定や特別条項の労働時間の枠内(つまり概ね月45~60時間程度)で
副業・兼業を行う必要があるというということになります。
残業が一切ない会社は珍しいですから、現実的には被用者として法律の範
囲内で副業・兼業にかけられる時間はせいぜい月20時間程度といったと
ころでしょうか。
起業や自己実現に繋がるような兼業・副業が月20時間程度の労働時間で
果たして為し得るのか。
このような問いかけに対しては、おそらく「自営、フリーランス」という
形態をとればよいとの回答が返ってきそうですが、確かに請負や委託契約
等で業務を行う個人事業主に労働法は適用されませんから、本業の使用者
は自営部分の労働時間を基本的には管理・把握する必要はありません。
ただ、彼らはその時間も業務を行っていることに何ら違いはありません。
つまり、政府のいうところの「メリット」を享受できるような副業・兼業
を実現するためには、「被用者同士でのダブルワーク」ではかなり厳し
く、「自営、フリーランス」が前提であり、実態としては労働時間が長時
間化することは避けられないということです。
低水準な実質賃金と将来不安から働き方改革で得られた労働時間の短縮部
分が副業・兼業時間に代替され、働き方改革で目的とするところの「長時
間労働の抑制」の実現が、まさに同じ働き方改革のテーマである「副業・
兼業」により実態ベースでは阻まれ、場合によっては更に長時間化すると
いう事態が強く懸念されます。
この懸念を解消する理屈として考えられるのは、詰まるところ「高い目的
意識をもって主体的、能動的に取り組む労働時間について人はあまり大き
なストレス感じない」ということでしょう。
労働時間規制は基本的には区別なく一様に適用されてしまいますが、1時
間あたりの労働時間が労働者に与えるストレスは平等ではありません。
「労働者が主体的、積極的に活き活きと仕事に取り組むためにはどうすべ
きか?」
もっと言えば
「やりたい仕事、自己実現に近づけているか?」が重要であるということ
です。
そしてこれを実現するための手段は副業・兼業には限られないはずです。
コンプライアンスや業務改善や多様化といった手段にばかりが意識されが
ちな働き方改革ですが、より本質的な「活き活きと働くということ」につ
いて再度、労使で考えて頂く機会にして頂ければと思います。
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☆本件についてのお問い合わせは淀川労務協会コンサルティング業務部
門までお願いします。
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