新型コロナウイルス感染症が経済活動に影響を及ぼす中、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業等」という。)から、労働基準関係法令への対応に困難を伴う状況がある旨の声が寄せられています。
都道府県労働局及び労働基準監督署において、新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大が中小企業等に与える影響に配慮すること等を徹底するよう、厚生労働大臣から事務次官に対して指示があり、この趣旨を3月17日の記者会見において厚生労働大臣から説明するとともに、事務次官から依命通達を発出しました。
1.中小企業等への配慮
▶労働施策基本方針(平成30年12月28日閣議決定)における「その他の事情」には、新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大が中小企業等に与える影響も含まれることを明確化。
2.労働基準法第33条の解釈の明確化
▶労働基準法第33条第1項(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等の延長)の対象となり得る場合を明確化。
<労働基準法第33条第1項の対象となり得る場合> ※このほか、人命・公益を保護するために臨時の必要がある場合も該当し得る
○ 新型コロナウイルス感染症に感染した患者を治療する場合
○ 手厚い看護が必要となる高齢者等の入居する施設において新型コロナウイルス感染症対策を行う場合
○ 新型コロナウイルスの感染・蔓延を防ぐために必要なマスクや消毒液、医療機器等を緊急に増産又は製造する場合
3.1年単位の変形労働時間制の運用の柔軟化
▶1年単位の変形労働時間制を採用している事業場において、新型コロナウイルス感染症対策のため、当初の予定どおりに制度を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、制度の途中であっても、労使協定を締結し直すことも可能であることを明確化。
4.36協定の特別条項の考え方の明確化
▶繁忙の理由が新型コロナウイルス感染症によるものである場合には、36協定の特別条項に明記されていなくとも、「臨時的な特別の事情がある場合」の理由として認められるものであることを明確化。
詳細は下記サイトをご参照ください。
■新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大による影響を踏まえた中小企業等への対応について -厚生労働省発基 0317 第 17 号 令和2年3月1 7 日
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610189.pdf
■新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大による影響を踏まえた中小企業等への対応について(概要)