業務部の村崎です。
先日ある会社で、総額2億円を超える民事賠償請求の相談を受けました。
建設現場での労災事故で、障害等級1級となったことによる逸失利益や慰謝料の請求だったのですが、請求された方は、年齢も若く、障害の程度も重いためこれだけの額になったと思われます。
労災民事賠償について、会社からの相談の場合、まず請求額の精査を行います。民事賠償の請求額は、交通事故などの場合と同じで、特に変わったものでもありません。また、弁護士さんが算定されていますから間違いはないはずですが、実際には首を捻るような算定額が多く見受けられます。
例えば、逸失利益算定の基礎となる被災された方の年収は、一般的には平均賃金の365日分か実際に支払われた1年間の賃金を選択されますが、計算根拠がわからないことも少なくありません。ある請求案件では、2年間の年収の平均を取って逸失利益を計算されていました。平均賃金の365日分のほうが多いにもかかわらず、2年間平均という一般的でない計算方法を取って、わざわざ少なく請求してこられたのかが、いまだに理解できません。単なる勘違いなのか、計算間違いなのか、訴えられた側の弁護士さんもわからない不思議に請求でした。
平均賃金や年収が低いということで、厚生労働省の統計データから同種労働者の平均賃金を基に逸失利益を計算されてくることもありますが、ある製造業で訴えてられたケースでは、全く関係のないサービス業の賃金データを基に計算されていました。その方が、本来はサービス業の仕事をしていて、アルバイトで製造業の仕事をしていて被災したために、サービス業の賃金データを取られたのかと思いましたが、会社の方のお話ではサービス業関係の仕事は全くしたことがないということで、これも根拠不明の算定内容でした。
今回相談を受けたケースでも実際の年収の2倍超の額を基に逸失利益を計算されていますが、その根拠が全くわかりません。請求する側としては、賠償額はできるだけ大きくするにこしたことはありません。また、被災者の過失など全くないものとして計算するは当然ですし、どうせ交渉で減額されるわけですから、請求額をいくらにしようが勝手ですが、もう少しわかりやすい算定額にしてもらいたいものです。