淀川労務協会 の玉田です。

 
「偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)」(模倣品など著作権侵害するものの
拡散の防止を目的とした、国際協力の枠組みを定めた協定)を批准することが
決まりました。
協定には約30カ国が署名しており、6カ国の批准で発効することになっていますが、
批准を決めた国は日本が初めてです。

 
ACTAは条文が漠然としており、誤った解釈や拡大解釈による規制強化への懸念が
根強く、特にインターネット上の表現・言論の自由を脅かす運用を招きかねないの
ではないかと指摘されています。
例えばブログなどでニュース記事を引用することも、取り締まり対象にされる可能性
があるというのです。これは違法なものを取り締まるという建前のもと、体制側に
不都合なものは刈り取ってしまうことを可能にする、自由な言論やインターネットの
統制につながる危険性があります。
また交渉段階では、税関での個人PCなどの中身チェックや、著作権侵害の申立て
を受けたユーザーのネット接続遮断という内容が含まれていたとも言われています。
これらのことから各国で反対運動が起こり、EUでは批准が否決されました。

 
ただ正式な条文にこれらの内容はなく、外務省は、ネット規制強化は誤解であり
「正当なインターネット利用の制限、アクセス遮断、プロバイダーによる監視の義務
付け、というような規定は含まれていない」と発表しています。

 
偶々ネットで上記のような記事が取り上げられているのを見て、協定のことを知った
のですが、この協定に限ったことではなく、後になって、どうしてこんなものがつくら
れたのかと大騒ぎする事態になるのは、危険性などが払拭されない曖昧なまま、
何となく良さそうとか自分には直接関係ないからと、決められていくことを見過ごして
しまうことも原因なのだろうと感じました。
身近なことも含めて、物事は、良い面も悪い面も知ったうえで先のことも見据えて
決めないといけないということを、改めて考えさせられた記事でした。