業務部の木村です。
日本医療労働組合連合会が昨年9月~11月、全国の医療機関や介護施設で働く看護師、准看護師、保健師、助産師を対象として実施した調査によると、7割以上が慢性的に疲労を感じており、また健康状態に不安がある人も6割を超える、という結果となりました。
この調査では医師は対象に含まれていませんが、医師も同等もしくはもっと高い数字になるものと予想されます。
医療従事者が慢性的に疲労した状態で治療や看護に臨めば、医療ミスも発生しやすくなるため、患者の安全確保の意味でも、医療従事者の健康確保の問題は喫緊の課題であると思います。
ちなみに、日本の看護師数は11年に141万人。高齢化社会が進む25年には、約200万人の看護師が必要となるそうです。これにはあと60万人増員しなければならず、毎年4万人以上の増員が必要となります。
これほどの人数を確保するためにも、やはり労働環境の整備は重要となります。
もっとも、業界団体を中心として、いろいろな提言や現場レベルでの取り組みが行われています。これらのひとつとして、日本看護協会が昨年2月に「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を発表し、次のような勤務編成基準を示しています。
・勤務と勤務の間に、最低11時間以上の間隔をあける
・拘束時間は13時間以内とする
・夜勤の連続回数は最大2連続(2回)まで
・夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する
・2回連続の夜勤後は概ね48時間以上の休息を確保する
・連続勤務日数は5日以内
また、現場レベルでの取り組みとしては、勤務時間や勤務日数を短縮しながら正規雇用される短時間正職員制度の導入が成果を上げている例が報告されています。
これらの業界の構造的な問題は、部分的な対策では解決できないと思います。やはり、雇用の質と量の両方を同時に改善するような対策をいち早く打っていく必要があります。
私も人事労務の専門家として、知恵を絞ってこの問題に少しでも貢献できればと思います。