業務部の村崎です。
先日、厚生労働省が年金支給年齢の引き上げに関する案を社会保険審議会へ提出したというニュースがありました。
すでに厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢は、男性が昭和28年4月2日以降生まれの人から、女性は昭和33年4月2日生まれの人から、61歳以降に引き上げられており、段階的に3年に1歳ずつ引き上げられてゆくことになっています。
しかし、年金財政の逼迫から今回の案では、まず3年ごとに1歳ずつ引き上げる支給開始年齢のペースを早めて2年に1歳へとして、65歳支給開始への完全移行を達成した後は、更に3年に1歳のペースで68歳まで支給開始年齢を引き上げるか、2年に1歳のペースのまま68歳まで引き上げるという案を示しています。
また、現在65歳支給の基礎年金も併せて68歳からの支給となるようにされており、大幅な財源の圧縮ができると予想されますが、雇用問題や世代間の不均衡等新たな問題も発生してくるのは明白で、すんなりとは収まりそうにありません。
いままでの例から、雇用問題の解決策として、企業に対し当然のように定年年齢の引き上げや70歳までの継続雇用が求められるでしょうが、65歳以上の年齢まで雇用することを義務付けるということには大多数の企業が反対するものと思われます。また、高齢者の雇用延長は、年金財政を支える現役世代の雇用を圧迫し、逆に年金財政の不安定要素ともなりかねません。
更に、所謂団塊の世代と呼ばれる年齢層が、今回の65歳以上の年齢までの引き上げ対象になっていないというのも議論を呼びそうな気がします。特に人口が多い年齢層に配慮したわけではないのでしょうが、それを支える現役世代にとっては世代間の不公平と映っても仕方のない案になっています。
一説には、この案をアドバルーンにして、反応を見てから手直しを行い、実際の法案が出されるのではと言われていますが、来年通常国会に関連法案を出す予定であれば、それ程時間はないはずで、その動向は注意深く見守っていかなければならないと思います。