業務部 の櫨山です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今私は子育て真っ最中の母親なのですが、今年はわが息子も、しつけ教育が必要な年頃となってきました。
最近はときどき書店で「しつけハウツー本」の類を立ち読みしたりしているのですが、
その中で目に留まった「江戸しぐさ」について、今日はご紹介します。
江戸しぐさは「江戸思草」と書き、江戸時代の商人のトップに立つ人、
江戸商人のリーダーたちの心構え、考え方、生き方、人づきあいの知恵など、
その美意識や感性すべてを包含した江戸の生活・行動哲学をあらわした言葉です。
最近は学校の道徳教材として取り上げられたり、公共広告機構のCMでテレビ放映されたり
していましたから、ご存じの方も多くいらっしゃるかもしれません。
以下はほんの一部ですが、当時のビジネスマナーや人づきあい・子育ての分野まで、
800種類とたくさんの種類があるそうです。
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■傘かしげ
雨の日、狭い道で傘をさした者同士がすれ違う時、たがいに傘を外側へ少しかた向ける動作。
雨のしずくを相手にかけない、傘がぶつかるのを防ぐこころです。
■こぶし腰浮かせ
乗り物の座席などで、こぶし分腰を浮かせて横につめて、後から乗ってきた人のために席を作ること。
こぶし一つの思いやりのこころです。
■七三の道
大勢の人が通る道は、ど真ん中を歩くのではなく、自分が歩くのは道の3割にして、
残りの7割は他の人のためにあけておくこと。
■束の間つきあい
飲食店などで「ご相席よろしいでしょうか?」という場合があります。
そんな時、後から座る人が「すみません、ご一緒させていただきます」の一言をかけると、
相手も「どうぞ」と返してくれます。
袖振り合うも多生の縁、「束の間のおつきあい」も気持ちの良いものになります。
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こうした江戸しぐさの粋な「振る舞いかた」「ものの考えかた」には、
単に礼儀やマナー・処世術といったことだけでなく、
根底に人に対する深い「思いやり」「感謝」の精神を感じます。
親は皆、わが子には思いやりをもった人間に育って欲しいと願うものです。
息子もこんな「江戸しぐさ」が自然にできるような大人になってくれたらと思いますが・・・
子供は親の背を見て育つといいます。
昨年は震災を機に、改めて思いやりや人とのつながりが見直されることが多くありましたが、
まずは親である大人が、江戸しぐさを通じて受け継がれてきた美徳や、
優しさを大切に過ごさなければ、と年の初めに自戒しています。