業務部の三浦です。
今年の4月から経営危機にある某社の事業再建プロジェクトに1年計画で参画させて頂いています。
私の役割は、再建施策の中の1つである「人事再構築」に関し、事業計画に沿って会社の立て直しを支援することで、紆余曲折を経てようやくプロジェクトの前半部分が終わろうとしています。
その会社は、当初は私ではなく別の事務所にまずこの相談を持ち込んだそうなのですが、そこでは既定の分厚いファイルを手渡されて「やり方はそこに書いていますので、御社の責任でこの通りに進めて下さい。」と告げられ、怒って帰られたそうです。
人事責任者というのは、このような厳しい状況ではとても孤独で辛い立場に立たされます。
我々にはただソリューションを提供するだけではなく、その人事責任者が少しでも楽になるように考え、知恵を絞って同じ立場に立つ気持ちで支援する義務もあると思います。
「御社の責任で」という言葉に、とてもガッカリされた言葉だったのだと思います。
更に、人事立て直しの問題は、その道中、とても神経質な場面が毎日のように生じます。
そして、セオリー通りにはいかない問題が次々と山積します。
にもかかわらず、前述のように予め準備していた「作り込まれた型」に顧客を嵌め込もうとする専門家がいます。
勿論、様々な「型」を知っておくことは必須ですが、会社の体質、文化、抱えている問題等は多種多様で型通りに進まないのが人事です。
私はこのような相談を受けた際、なるべくフリーな状態でまずしっかりお話をお伺いするようにしています。
そして、予め資料を準備する必要があるときにも導入部分だけの極めて不完全なものを作って、あとは会社と一緒に考え、その会社に合ったものを少しづつ作り込んで、随時修正していくようにしています。
なぜなら、「作り込まれた型」があると、その「型」に会社を無理に嵌めこもうという意識がどうしても働くからです。それで楽になるのは会社ではなく、我々専門家の方です。
そして、「型」通りに進めて上手くいった会社があるのだから、「型」通りに進められない会社が悪い・・・という責任転嫁にも繋がります。
「作り込まれた型」は見栄えがいいので実態価値が乏しくとも高額のフィーを請求されることにもなります。
勿論、ヒトの問題ですから最終的に上手くいかないこともあります。
ただ、顧客のニーズを踏まえて我々が解決繋がる道標を示し、共に考え導き出された結論なら、もし上手くいかなくとも納得感は違ってくると思います。
例え満足頂けなくとも、少なくとも納得頂けるような取り組み姿勢で仕事をしていきたいと思います。