業務部の村崎です。
国土交通省が進める「建設業における社会保険未加入対策」で、新たにペナルテイィを設けることが発表されました。
平成26年8月1日以降に入札手続きを開始する国土交通省直轄工事において、社会保険等未加入建設業者に対する指導を強化し、元請業者及び下請代金の総額が3千万円以下の工事における一次下請業者につき、社会保険等加入業者に限定すると伴に、未加入業者を使った元請業者から制裁金を取ることを決めました。
最も大きなペナルティは、元請業者が契約した一次下請業者が未加入だった場合、元請業者に対し、元請・下請業者間の最終契約額の10%を制裁金として請求するというものです。更に工事を発注した地方整備局管内で2週間から4ヵ月までの指名停止が行われ、工事成績評定の最大20点減点も行われるそうです。
この強化策により、直轄工事を受注しているゼネコン等の仕事を請負っている会社は、一次下請のみならず末端まで社会保険加入が必須となり、更にこれが他の公共工事の施工業者にも波及していくものと考えられます。
平成24年に国土交通省が社会保険未加入対策を発表して以来、大きな進展もないまま2年が過ぎました。昨年には各業界団体の「標準見積書」の雛型も出揃いましたが、実際に使われているという話は聞きません。
標準見積書ができて、元請会社から「法定福利費」が下請業者に支払われるシステムが機能すれば下請業者も社会保険に加入しやすくなると考えられましたが、様々な問題で機能しているとは言えません。
ペナルティの設定は、この微々として進まぬ状況を打破するためだと思われますが、まだまだ100%加入までの道のりは長いと思います。
我々も専門家として、日常的に相談は受けています。
事業所として加入対象なのか、保険料はどれ位掛かるのか、年金の資格期間が足りない人がいるが、など様々な質問、相談がきます。
しかし、具体的手続を依頼されるまでには至りません。
下請業者の間では、まだ様子眺めといった雰囲気が支配的です。
かろうじて、雇用保険の加入手続きをされるところが徐々に増えてきているといった状況です。
しかし、このペナルティの設定に続き、次の強化策も検討されているでしょうから、そんなに呑気に構えているわけにもいかなくなりそうです。
100%加入までに設定された5年の期間も、もうすぐ折返し地点です。
直轄工事は関係ないから、うちの会社は大丈夫と考えず、保険料の負担など実際に加入したときのことを真剣に考えておく時期に来ているように思います。