業務部の三浦です。
例えば
◆ クライアントが抱えている労務トラブルを現実的に解消する為の具体的解決策を示す。
◆ クライアントの業種特性に合わせたコンプライアンス対策、リスク対策が施された就業規則を作成・改定・納品する。
これらは与えられたテーマに対する客観的な成果物を提示することを目的とした人事労務「コンサルティング」の領域に該当すると思います。
一方で、
◆ クライアントが抱えている労務トラブルの大局的な原因を経験から見出し、労務トラブルが起こりにくくなるような労務管理体制への変化、質的向上を経営者や人事担当者とともに地道に目指す。
◆ 労働意欲の妨げとなっているものの解消や、逆に労働意欲の源泉となっているものを更に刺激するような人事諸制度の構築・運用支援等を行うことにより、長期的な社業発展に寄与する。
これらは、その提案が企業の継続的発展や問題の根本的解決に寄与するのかどうかを常に意識し経営者や労務管理担当者をコーチングするのが人事労務「アドバイザリー」の領域だと考えます。
前者はクライアントが「今」期待する成果や提案を示せばよいのに対し、後者は長期的にクライアント企業の発展に繋がるのであればクライアントが「今」期待する解決案とは別の提案を行うことも求められます。
コンサルティングは与えられるテーマとその達成基準、成果物が明確なのでフィーは割高になります。また、結果の判明は比較的短期になりますのでスポット業務になることが多いです。ただ、仕事が終われば終了なので、仮に短期的に成果は上がっても成果の持続や根本的な問題解決には無関心になりがちです。
アドバイザリーは主に機能性の向上や質的変化を目指すものなので、成果物が短期的に明確ではないためフィーは安価である代わりに長期的なお付き合いとなることが多いです。
限られた期間で現実的な成果を上げなければならない訳ですから、難易度としては一見するとコンサルティングの方が遥かに難しく責任が重いようなイメージがありますが、実はそうとも限りません。
アドバイザリーには従業員を含めたクライアントのことを良く観察し、経営者の人事思想を理解し、自らもそのクライアント企業の当事者であるような錯覚を抱きながらときには一緒に喜び、ときには一緒に悲しむような一蓮托生精神、信頼関係が必要です。
そして何より多種多様で豊富な経験が求められます。
発展企業に共通する労務管理センスと思想、組織を活性化させるアクション、リスク感覚がクライアントに備わるように導ける能力を身につけるのが、アドバイザリー業務の究極的な到達点だと思います。
正しいかどうかはわかりませんが、これが私が考える人事労務のコンサルティングとアドバイザリーの違いです。